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平成30年度 第3回台湾出張 (12月)

台湾医療現場の現地実習を行うため、台北市立連合病院の訪問となります。また、今回は、現場実習を受け入れていただくためには、連合病院と友好提携をすることとなり、MOUの調印式に参加する大きな目的でもあります。今回の訪問調査は、これまで台湾の医療機関ネットワークづくりに尽力していただいた専門家である城間寛先生や腎臓病において世界各国とのネットワークを持ち且つ各国の透析現場をみてきた専門家井関邦敏先生に同行していただき、現場の指導を受けることとなりました。調査方法としては、沖縄の医療関係者と一緒に実習現場に入り、参加型の調査方法をとりました。

1. 仁愛病院・小児科、産後ケアセンター、透析室の見学

台湾に到後、予定の第一訪問先部署として、台北市立連合病院の医学研修センターにてVTRを用いて全体の紹介をしていただきました。

台北市立連合病院でのあいさつ

その後、医学研修センターの見学し、臨床技能訓練や研修のための精密機械なども揃っており、教育体制が整えている印象でした。医学教育センターは、研修医の教育や看護学生の現場実習の際に使用される場所です。今回、我々の研修メンバーは、看護学生もいるとのことで、臨床技能センターも見学させていただくことになりました。

臨床技能センターの集合写真

続けて、小児科病棟及び産後ケア病棟の見学となり、日本の病院には存在しない産後ケア病棟を見ることができ、台湾の医療文化や習慣について深く理解できました。小児科は、絵本に出てくるような物語の図柄や動物の絵など、子供に好まれるデザインが壁一面に描かれています。高齢社会を迎える台湾の医療機関は、こどもの健康や小児医療に大変力を入れており、仁愛病院の小児科も非常に努力されていることが伺えます。小児医療も台湾医療機関の特徴の一つとして確認ができました。

産後ケア病棟前

産後ケアセンターというのは日本にはない病棟です。台湾、中国では産婦はお産後1か月くらい動いてはいけないという考え方で、乳児の世話から産婦のお世話をします。台湾医療機関に特有の取組みを見ることができました。

仁愛病院小児科等の見学後に、翌日(12月21日)に予定していた透析室実習の事前準備として、透析現場研修において調べることや確認すべきなことを専門家の井関邦敏先生(腎臓内科専門医)や高嶺朝広先生(腎臓内科専門医)に指導していただきました。特に、感染症の扱い方や透析液の作り方に関して日本と異なることがあり、実習の際に注意してみてほしいという指導がありました。

病院見学後に、今回訪問のメインイベントでもある台北市立連合病院との友好締結のMOU調印式会場に向かいました。締結式は台北市内のホテルで午後6時から行われました。台湾側の参加者は黄勝堅総院長をはじめ、市立聯合病院の他の7つの病院の院長先生達および台北市衛生局長が立会人として参加しました。終了後台北市立聯合病院の院長先生達と食事会が行われました。今回の友好締結により、我々の台湾医療現場実習が実現できることとなり、今後も沖縄での病院現場の外国人対応力向上のために是非市立聯合病院の協力をお願いし、今後もこのような協力体制が実施できることが確認できました。

友好締結覚書にサイン

2. 台北市連合病院・仁愛病院 ソーシャルワーク室、認知症トレーニングセンター、透析室など

朝から台北市立仁愛病院にて現場実習を行いました。仁愛病院に到着して、玄関に沖縄からの研修生を歓迎する表示があったことに参加者全員は、感激しました。その後、会議室で忙しい外来時間の合間にきてくださった仁愛病院簫院長が実習の歓迎挨拶をいただきました。

仁愛病院簫院長の挨拶

各部署大勢なスタッフが私たちの研修のために待機していただきました。沖縄の研修参加者の職種に合わせてソーシャルワーカーの取組み、病院全体の取組み、透析室の見学・実習、看護学生のための臨床研修内容を用意しました。

仁愛病院での説明会

簫院長の挨拶後に、病院の組織図やソーシャルワーカーの役割、活動状況などの説明がありました。その後病院の施設案内があり、病院の中で、一般的な診療状の役割以外の特別な施設の紹介が行われました。
連合病院のソーシャルワーカーの支援体制や取組みについてお話を伺いました。連合病院全体のソーシャルワーカーの人数は43名だそうです。うち75%が有資格者です。三年以内に有資格者100%を達成できるように目指しているとのことでした。支援内容としては、個々のケースに応じて家庭訪問等を行って、支援コーディネーターであるケースマネジャーとサービス計画を調整したり、病識の無い患者さんへの支援や退院支援などを行っています。また認知症を抱えている方などが地域で生活できるために、患者さんがよく通うお店など地域の方々へ理解もらう役割も担っています。また今後の展望として、在宅ケアや在宅医療などトータルで関わっていけるように支援していきたいとのことでした。

ソーシャルワーカーの取組みについての紹介

その後、認知症の患者のデイケアを見せてもらいました。色々な作業療法を行いながら、認知症のリハビリに励んでいるのが印象的でした。ゲーム感覚で言葉のやり取りや、絵を用いた記憶の回帰など、色々な工夫が窺えました。

また、院内には、DV等の対応をする為のワンストップサービスが行っており、被害者の特別診察室もあり、被害者が羞恥心を更に傷つけられる事がないようにと配慮されていました。また、同様に児童虐待の時にも使用されるとの事で、患者に配慮された作りとなっていました。

認知症トレーニングセンター

透析室の見学・実習

前日に専門家の井関先生に透析に関して、日本との違いの指導を受けたうえで現場実習が行われており、その違いを注意しながら、現場の詳しい説明を再度聞くことになりました。まず、ミーティングルームで全体の説明と質疑応答が行われました。一般的な透析治療の質を問う医療指標のデータ分析の結果を説明され、現場は、医療指標に達するために、様々な努力がされていることが窺えました。これは、学会発表でも行われているように、医療の質を担保する努力が普段に行われていることを示しているものと理解しました。台湾の医療レベルは日本国内と遜色なく高いと研修生の全員が感心しました。

感染症についての説明がありました。沖縄では、B型肝炎感染患者が他の患者から隔離されて別ベッドで透析治療を受けていますが、仁愛病院では、B型肝炎だけでなく、C型やE型肝炎も同様に一般患者から離れた別のベッドが使用されてました。前日の井関先生のレクチャーもあったので、その取り扱いの相違が再度現場で確認できました。その後、透析班と学生班を分けてそれぞれの見学・実習を行いました。

透析室での見学・実習様子

実習後のスタッフとの意見交換・交流

すべての見学・実習後に仁愛病院の看護スタッフの意見交換会が行われました。見学の感想や日本との違いをそれぞれ述べました。看護主任は、沖縄の研修生のために台湾のおやつも用意していただき、研修の緊張感や疲れも取れ、楽しい雰囲気の中で最後の意見交換ができました。また、今後このような研修は、1週間も実施したいという要望もあり、次年度の計画としたいと考えています。

仁愛病院の看護師スタッフとの交流会